海の手記

報告と記録

どうかあのひとのまわりに、できるだけやさしい言葉があふれますように。

すっかり日が落ちるのも早くなって、サンダルで外出するのができなくなった。今年はカメムシが大量発生しているらしい。 カメムシは暖冬の兆しだという。さむいのが苦手な私としてはこれは喜ばしく、ともすればカメムシを見直しかけたが、べつにカメムシがい…

今でもあなたの夢をみる。 ぼくにそんな資格はないのに。

頑張っていられるのにも終わりが来る。 わたしという商品の期限はもう尽きかけていて、それはわたしの心意気だけではどうしようもない。 わたしは傍目には夢見がちな、みっともない人間に映るんだろう。そういうことを、わたしは気にしない性質だけれど、で…

歌が上手と言われた。 あなたは周りが思うほど冷たくなんかなくて、よほど血の通ったひとだと言ってくれた。 そんなことはまったくないのに。 わたしがわたしを許せなければなんの意味もないのに。ただ、みんなしあわせになってほしいと思った。 わたし以外…

いちばん付き合いの長い友人だと言ってくれた人がいた。 愛しているからどうか死なないでほしいと言ってくれた家族がいた。それでも渇いている。 味のしない料理で腹を満たしているような感覚。それはもう愛されていないのとどう違う?なりたいわたしにもな…

友人の結婚式が八月にあるらしい。 八月まで生きる口実ができてよかったと思った。わたしが死なないように世話をするのに、わたしはすこし疲れつつある。

春が来た。窓を開けていると、暖かな風が吹き込んで、カーテンを揺らす。淡い日差しがこぼれて、すこしだけ微睡む。そんな昼下がり。 あるいは、すっかり日が長くなって、街をオレンジと紫が包み込む夕方。そういうものにどうしようもなく切なくなってしまう…

世界が不健康になっていく。突如足元から生活が瓦解して、気がつけば荒廃した身体と精神が世に憚っていた。というより、わたしたちの生活など、元からそれほど強固なものに支えられてなどいなかったのだ。今なんでもなく、以前と変わらず過ごせているのは、…

質問箱やましゅまろというサービスが流行ったとき、人間の承認欲求がおもむろに取り出され、剥き身で突きつけられたような感覚になって、吐きそうだった。人間はいつだって《誰か》を求めている。 詰まるところ私にとって人生とは、私を許すためのゲームにす…

人間関係について書こうと思う。 言葉をまた、紡いでみようと思う。 あの人がこれを読むのかはわからないが、今の私にはこれしか許されていないから。 私には人間がわからない。 世の中の人間はいつだって、誰にどう見られているかを考えている。私にはそれ…

それは、きらきらと輝くゼリーポンチ。 それは、別れ際の京都駅ゼロ番ホーム。 それは、丸善の海外文学コーナー。 それは、略奪した布団で猫のように丸まる人。 それは、哲学の道で汗ばんだ手のひら。 それは、昔ながらのドーナツと煙草のにおい。 それは、…

あのひとのいなくなったあと、ぽっかりと開いた穴は随分歪な形をしていて、何を嵌めてみようとしたところで上手く嵌まってくれなかった。 私はその穴をできるだけやさしい手つきで撫でて、そこにあったものを思う。街はどこもあのひととの思い出に満ちていて…

たくさん泣いてしまった。 これが前向きな選択だと信じている。 信じているけれど、やはりこれはひとつの終わりであることは間違いがなくて。煙草を吸った。あの人が吸わないと言っていたことを思い出す。今ではお笑い草だ。煙草だけに。 勉強を頑張ろうと思…

貴女と交際をはじめてもいいと思った理由は、この人は私が自殺してもきっと泣かないだろう、と思ったからだった。 当時(そして現在も)の私には自分はおそらく自殺するんだろうという漠然とした予感があって、輪にかけて他人に興味がなかったから、恋愛だな…

貴女は今たのしいのか。どうすれば笑ってくれるだろうか。 どうすれば貴女を無様にでも良いから繋ぎ止めていられるだろうか。 ずっとそんなようなことを考えている。ここ最近、一度も目を覚まさずに朝を迎えた記憶がなかった。それが、貴女がいるだけでカー…

もういいや。 誰かになにかを求めるのはやめにすることにした。 無駄は極力省いたほうがいい。 昔のように、孤独にチューニングすることは、たぶんそれほどむずかしくない。

死のう死のうと思っていたらいつの間にか世間はゴールデンウィークになっていた。 仕事には随分慣れた。結局のところ何一つ困難はなく、肥大化した自意識をへし折るには労働はあまりに容易かった。職場のキーボードの大きさにも、行儀正しく堅苦しい文章の書…

今日がこの部屋で過ごす最後の夜らしい。 いつだかみた部屋が人格を持つCM(たしか不動産屋の広告だった)をみてから、なんだか愛着がわいてしまってよくない。あのCMのように色んなことを共にしたねという旨の言葉を放ってみたが、当然返事はなかった。とい…

2月13日 きっとこういうことが多くなる。 その時いらなくなるのはきっと私のほうだ。

身の内に怪物を飼っているような気がする。 どうすれば飼い慣らせるのか、あるいは、どうすれば殺せるのか。今はただ、美しく生きる人間が羨ましい。こんなおぞましいものを腹の内に隠しているような人間から生まれでた音楽が、言葉が、物語が美しいわけはな…

はやくこのおぞましい怪物を、私はどうにかしなければ。

教会

罰されていたい。 そうでないと、くるしい。 罰されている間は、空気がおいしい。 誰も罰してはくれないとき、 ぼくはぼくを罰してもかまいませんか。 馬鹿が治るまで。 性欲が消えるまで。 ぼくがぼくでなくなるまで。

京都という街について

この街に来てもう三年と半年が過ぎた。 入居当時空き地だったお隣さんにはよくわからんマンションが建ったし、一乗寺にはラーメン二郎ができた。その点ぼくはと言えば、何も進退なく、相変わらず不健康かつ怠惰な生活を続けている。本だけはそれなりに増えた…

今日は外に出るつもりだった。 なんだかもうどうしようもないところにまで来てしまった。身体はうごかない。頭がわるい。大学入学時に思い描いた私は、少なくとも今の私ではない。 せっかく上手くやれていたのに。いや、上手くやれていたから、分不相応にも…

審判

特別にはなれなかった。 ぼくはえらばれなかった。 なににも、なれなかった。 おそらく今なら死ねるだろう。なんとなくそう思う。余生がすべて消化試合へと移り、ぼくはなににもなれなかった自分を許容できやしない。正直に言ってなんの希望も消え失せてしま…

忘却

久しぶりにブログを書く。気づけばもう春になっていて、審判が目前に迫っていた。花粉症もピークを過ぎて、例年なら一年でいちばん、美術館や水族館、なんてことのない理由で外に出たくなる季節だ。最近日中はずっと寝ていることが多い。起きるともう太陽は…

最近はずっと悪夢が続いている。 厳密に言えば最近というよりはもう何年もと言うべきだろうし、悪夢というには少しニュアンスが異なってくる。生まれてから今まで、やれなかったこと、やめてしまったこと、やりたいこと、そういった類いの夢をいつもみる。 …

なんだかねむれなかった。 未来のことがすこし不安で。 多分ぼくは今年は無理だろう。客観的事実として、素直にそう思うし、納得もしている。ぼくらの目指す門はせまく、実際何年もかけて通るひとというのは珍しいことではないらしく、ならばぼくも平凡だっ…

夜半の独白につき

散らかっている。そう思った。 記憶が、言葉が、その断片が、この部屋には散らばっている。それがとても切ない。こんなにも切ない空間で、ぼくは生活をしなくてはならないのでしょうか。こんな呪いを残していった貴女がすこしだけ恨ましいです。でも、今まで…