海の手記

報告と記録

引力

創ることに取り憑かれている。
悔しい。悔しい。悔しい。
届き得ない領域はいつだって眼前に広がっている。ぼくにとっての敗北の一線は、おそらく誰の目の前にだってある。ぼくの届き得ない領域で、そのまた先と其処とを分ける一線を前に絶望し、それでもまだ創り、届かず、才能を妬み、恨み、敗北し、そうやって続き続けているひとをぼくは知っている。
きっとぼくだって、多くはないだろうけれど、何人もの絶望の上に立っている。自覚すべきだ。この一線は、誰の前にもあるものだと。そして創るべきだ。彼らがそうしたように。彼女らがそうしたように。認めなければ敗北は敗北ではないのだから。
それでいて、そんなことに頓着なく、自覚なく、穏やかに、たおやかに、自己が自己で完結できる天才にぼくはどうしたって惹かれてしまうのだ。才能に魅せられたぼくは、どうしてもそれを希求する。負けず嫌いに生まれついてしまったのだから、仕方がないなあ。