海の手記

報告と記録

自由

自分は自由の中にいる。まだ。
自由とははじめから箱の中にあるのです。時間と共に収縮し続ける箱の中で、ぼくたちは徐々に不自由になっていきます。そしてきっと用意される箱の大小は、人によって異なるのです。なりたいという感情は、その箱の中においてのみ尊重されます。ぼくたちはその箱の中で、最後に何かを選び取らなければなりません。けれど箱は止まることなく収縮していますから、早く取らなければ消えてしまう類のものもあります。自分のなりたいものは生まれた時すでに箱の外にあり、幼少期何の訓練も積まなかった自分は箱の中においても、選び取りたかったそれを掴み損ねました。箱に残されたもののすべては少なくともぼくには等価でしかなく、最早自由とはこうして栓のない駄々をこねる行為でしかありません。自分の箱があるいはもっと大きければ。もっと早くに何かを選んでいれば。こんな愚痴のような醜態を晒してなお、それでも箱の中を揺蕩うことをやめられません。敗北者として生きることを考えると気が狂いそうです。こんな自尊心をぼくはどこで身につけてきたのでしょうか。