海の手記

報告と記録

夜半の独白につき

散らかっている。そう思った。
記憶が、言葉が、その断片が、この部屋には散らばっている。それがとても切ない。こんなにも切ない空間で、ぼくは生活をしなくてはならないのでしょうか。こんな呪いを残していった貴女がすこしだけ恨ましいです。でも、今まででいちばん長く一緒にいたのだから、当然なのかもしれない。
また重ねることができましたね。貴女はどんどん可愛らしく、どんどん泣き虫になっていきます。これからの人生という視点からみればほんのすこしの時間、ぼくたちはすこしだけ、岐路に立ちます。ぼくだって安定しているとは到底言い難い人間だけれど、それでも貴女のことを思うととても心配になります。どうか貴女の思うまま、望むままに物事が進んでいきますように。何も貴女をいじめませんように。どうかおだやかに、貴女が貴女でいられますように。祈っています。
旅行、たのしかったね。ほしかった本も買えたし、観たかった映画もみられた。たくさん一緒にいられてしあわせでした。貴女は、「ずっと」を信じられずに不安になるくせに、お別れが近付くとあんなにさみしそうな顔で「ずっとこうしていたい」なんて言うんだね。本当に嬉しい。
これから先を思うと不安だけれど、案外生きてさえいれば、貴女さえいれば、地位や外聞なんてどうだっていい気がしてきて、それらを捨てられれば、なんとでもなるような気がしています。
愛しいひと、どうか健やかに。
どうぞこれからもよろしくね。