海の手記

報告と記録

今日がこの部屋で過ごす最後の夜らしい。
いつだかみた部屋が人格を持つCM(たしか不動産屋の広告だった)をみてから、なんだか愛着がわいてしまってよくない。あのCMのように色んなことを共にしたねという旨の言葉を放ってみたが、当然返事はなかった。というよりあの部屋は築年数的にぼくより若い筈なのでCMの彼(?)ほど包容力があるとも思えなかった。むしろ散々散らかすなどしたぼくなど部屋的にはさっさと追い出して、代わりに若い女でも迎えたいに違いない(部屋に男性性を認めるならば、だが)。
なんの感慨もないと言えば嘘になる。この部屋ではたくさんのことがあった。大学に入り露骨に引きこもりとなったぼくとこの四年間最も付き合いがよかったのは彼だ。その点にかんしては礼を言いたい。聞こえているか、ありがとう。
進路も決まっていないままこの部屋を出るぼくを心配してくれているのか、はたまた嗤っているのか。ともかく君との関係もおそらくこれでおしまいだ。
過去のブログ記事を読み返すと、どうやらちょうど一年前のぼくから現在のぼくまで、それほど進退はないらしい。向上心ばかりが高く、つまり意識高い系であるところのぼくにとっては当然の帰結かもしれないけれど。
そろそろ変わってもいい時機なのかもしれない。春がきてそう考えている。遅い。あまりに遅いけれど、春の陽気にあてられてそんなことを考えている。どうせ変わることなんて出来ないけれど、ぼくは死ぬまでぼくなんだけれど、それでもまあ今の自分を好いてやるのは癪なので、ちょっと頑張ることにする。見てるか、一年後のぼく。もし君が変われていないならばすこしは生きるのを恥じたらどうだ。というのは自分の首を締める(笑えない)だけなのでこのあたりでやめておく。
末筆であるが、ぼくよ、どうかご自愛を。