海の手記

報告と記録

2020-01-01から1年間の記事一覧

今でもあなたの夢をみる。 ぼくにそんな資格はないのに。

頑張っていられるのにも終わりが来る。 わたしという商品の期限はもう尽きかけていて、それはわたしの心意気だけではどうしようもない。 わたしは傍目には夢見がちな、みっともない人間に映るんだろう。そういうことを、わたしは気にしない性質だけれど、で…

歌が上手と言われた。 あなたは周りが思うほど冷たくなんかなくて、よほど血の通ったひとだと言ってくれた。 そんなことはまったくないのに。 わたしがわたしを許せなければなんの意味もないのに。ただ、みんなしあわせになってほしいと思った。 わたし以外…

いちばん付き合いの長い友人だと言ってくれた人がいた。 愛しているからどうか死なないでほしいと言ってくれた家族がいた。それでも渇いている。 味のしない料理で腹を満たしているような感覚。それはもう愛されていないのとどう違う?なりたいわたしにもな…

友人の結婚式が八月にあるらしい。 八月まで生きる口実ができてよかったと思った。わたしが死なないように世話をするのに、わたしはすこし疲れつつある。

春が来た。窓を開けていると、暖かな風が吹き込んで、カーテンを揺らす。淡い日差しがこぼれて、すこしだけ微睡む。そんな昼下がり。 あるいは、すっかり日が長くなって、街をオレンジと紫が包み込む夕方。そういうものにどうしようもなく切なくなってしまう…

世界が不健康になっていく。突如足元から生活が瓦解して、気がつけば荒廃した身体と精神が世に憚っていた。というより、わたしたちの生活など、元からそれほど強固なものに支えられてなどいなかったのだ。今なんでもなく、以前と変わらず過ごせているのは、…

質問箱やましゅまろというサービスが流行ったとき、人間の承認欲求がおもむろに取り出され、剥き身で突きつけられたような感覚になって、吐きそうだった。人間はいつだって《誰か》を求めている。 詰まるところ私にとって人生とは、私を許すためのゲームにす…

人間関係について書こうと思う。 言葉をまた、紡いでみようと思う。 あの人がこれを読むのかはわからないが、今の私にはこれしか許されていないから。 私には人間がわからない。 世の中の人間はいつだって、誰にどう見られているかを考えている。私にはそれ…

それは、きらきらと輝くゼリーポンチ。 それは、別れ際の京都駅ゼロ番ホーム。 それは、丸善の海外文学コーナー。 それは、略奪した布団で猫のように丸まる人。 それは、哲学の道で汗ばんだ手のひら。 それは、昔ながらのドーナツと煙草のにおい。 それは、…

あのひとのいなくなったあと、ぽっかりと開いた穴は随分歪な形をしていて、何を嵌めてみようとしたところで上手く嵌まってくれなかった。 私はその穴をできるだけやさしい手つきで撫でて、そこにあったものを思う。街はどこもあのひととの思い出に満ちていて…